今回はストリングの張替えに関して気になったことについて。
生徒さんから張替えを依頼される際によくあるやりとりがあります。
特に初級~中級くらいの生徒に多いのが特徴で、上級者になってくるとあまり見たことがないかな?
それがこちら!
コーチ。張替えをお願いしたいです!
お勧めでお願いします(^^)/
テンションもお任せで♪
自分のクラスの生徒ならまだしも、自分のクラスに在籍していない生徒に言われることもよくある。
正直、心の中では「ちょっと待ってくれぃ…( ;∀;)」って思っています。
ストリングの張替えに際して考えてほしいこと
ストリンガーの立場から思うことは「完全お任せ」は結構厳しいです。
だって、こちらとしてのお勧めを張ったとして「生徒が使いやすいと思うか」は正直わからない。
もし「違和感がある」となったら生徒さんもしっくりこないラケットをしばらく使うことになってしまうし、こちらの信用度も低下する。
こういったミスマッチを極力減らすためにも、最低限、こういった情報は欲しいなと思っています。
順に理由を説明していきます。
1.前回の張り替え日時とテンション
まずは現在のストリングを張った日時とテンションです。
これは、今現在どのくらいのテンションのものを使用しているか参考にしたいということ。
前回の張替えから3か月以上経過していたら性能(弾力性)は0に近い状態でストリングも伸びきっています。
これは使用頻度に関係なく、ストリングを張り上げた(テンションをかけた)瞬間から始まる劣化によるもの。
日本ラケット工業協同組合(外部リンク)でも実験をしており、販売店舗が張替え促進に使用できるポスターを作成しています。※この外部リンクでポスターのPDFにジャンプします。
つまり、3か月振りに張替えを行う場合、前回と同じテンションで張ったとしても一時的に硬く感じる可能性が高い(弾き感は強まる)ということです。
気温などでも感覚は変わるため、張上げテンションを検討するにあたり、「いつ」「どのくらいで」張り上げたかを確認します。
2.使用ストリングの商品名
ストリングに商品名の刻印が残っている、前回張替え時のシールが残っているといったケースがあればそれで確認できます。
が、残っていないケースも多い。
それに、ストリングを自分で切って抜いてあった場合はノーヒント( ;∀;)
正直言って、多少はストリングを見れば推測できます。
蛍光グリーンの多角形ストリング=ハイパーGというようにわかりやすいストリングはまず間違いなくわかる。フラッシュイエローのストリングは十中八九ポリツアープロだし、蛍光オレンジはポリツアーREV。
このようにポリエステル系のストリングは自己主張が激しいモデルが多いためわかりやすい♪
問題はナイロン系ストリング。
ぶっちゃけ見ても判別できないケースが多いです。
トアルソンのレインボーなモデルは一瞬でわかりますが、それ以外は難易度激高です。
同じメーカーのナイロン系ストリングであっても商品によって柔らかさが異なります。
また、弾き感も異なります。
例えば、お客様の要望として「もっと柔らかい打感にしたい」と言われた際、ストリングの銘柄がわかればそれを基準に別の商品をお勧めすることもできますが、銘柄不明だと結構辛い。
極端な例としては、東京を出発地とした場合に、
次の連休は東京より西側に遊びに行きたい
と言われるのと、
次の連休は関西よりも西側に遊びに行きたい
と言われた場合、どちらが行先を設定しやすいでしょうか?ということです。
東京より西、、、神奈川でもいいの?それとも長崎までいかないとだめ?って迷うじゃないですか。
ストリングもかなりの種類が発売されているため、なるべく選択肢を絞らないと五里霧中になってしまいます。
3.現在のストリングの使用感
ストリングの使用感は人によってかなり違います。
そのため、2と絡むのですが、「その人が何を使っていて、どう感じているか」というのは非常に重要です。
たとえば同じポリエステル系のストリングを「スイングが速い男性」が使って思うことと、「スイングがゆっくりの女性」が使って思うことは違います。
そのため、張人の私が「柔らかい」と思っていても、実際に使用している方が同じ様に思っているかはわからない。
そのため、張替えを依頼してきている方が「どのストリングを、どのラケットに、何ポンドで張っていたか」ということと、「その結果、どのように感じていたか」を知ることは非常に重要になります。
こういった情報が、たくさんある商品から少しでも生徒さんに合ったストリングを探すための道標となります。
私見ですが、「何のヒアリングもなくお勧めストリングを出してくる=売りたいストリング(在庫処分か利益率のよい商品)を勧めているだけ」と思えて仕方ありません。
4.今と比べてどうなってほしいか(ストリングに何をもとめるか)
1~3で聞いたのは「今まで」がどうだったのかという話。
4で聞きたいのは「今後」がどうなってほしいのか。
よくあるのは「差がわからないから何でもよい」というようなことを言われるケース。
「差がわかるかどうか」ではなく、「あなたがラケット、ストリングに求める性能は何?」ということを聞きたいと思っています。
要はテニスをする上での、道具に求める性能の優先順位です。
「肘を痛めがち」であれば「衝撃吸収性が高い」ことを優先するでしょう。
「毎日のようにストリングが切れる」のであれば「耐久性」が最優先かもしれませんね。
要はそういうこと。
打ち比べた差を教えてほしいのではなく、「少しでも理想に近づける」ために「どんな性能のストリング」を欲しているかの情報が欲しいのです。
5.テニスのレベルとプレースタイル
私はコーチ兼張人なので、生徒さんの場合はプレーを見る機会も多い。
なので、何度かプレーを見たことがある、レッスンで担当したことのある生徒さんからストリングの相談を受けた場合はあまり困りません。
しかし、テニスを見たことがない、プレースタイルも知らない人から突然相談をされるとまず困ります。
だって知らないんですもん。
その人がどんなプレーヤーで何を求めているかが「情報0」から始まる。
なのでヒアリングさせてもらうわけですね(^^)/
ボレーが大好きでストロークはフラット系というプレーヤーにスピン性能Maxな多角形ストリングを推奨しても仕方ないですよね?
ゴリゴリの体育会系でナダルみたいなスピンボールを打つ人にナイロンマルチは勧めないでしょ?
そういうことです。
何も知らない人にお勧めするのって実は難しい。
なので色々質問させてもらっています。
最後に
スクールにいると、完全お任せで張替えというケースは散見されます。
自分自身がラケットを預かる場合は、今記載したようなことをその場で会話しながら聞き出す努力をします。
たまにあるのが、張替えの受付簿のテンション欄に「お任せ」と書かれているケース。
体格も、プレーも知らない人のお任せっていったい!?
って困り果てています。
基本道具に拘らない=初心者~初級者が多いため、割り切って緩めに張ることが多いのですが、最低限情報を回してほしいなと思うこの頃。
皆さんもストリンガーと話す機会があれば色々と質問されるケースがあると思います。
質問されても嫌がらずに会話に付き合ってください(^^)/
営業トークということではなく、少しでもその人にあった張りを提供したいという思いから質問している人が多いはずです!
完璧な回答は求めていません。
勝手に会話の中でヒントを見つけますので♪
コメント