今回はインプレではなく、Jr(小学生)のプレーヤーのストリングについて考察します。
テーマとしては「ポリのストリングを使用することの是非」です。
というのも、私のクラスの小学6年生がストリングとラケットを迷っており、いろいろ試す中で思うことがあったので参考になればと思った次第です。
まずは前提として、、、
今回ストリングの相談をしてきたのは小学6年生のJrの男の子です。
(実際は保護者様からの相談です)
レベルは「ゆっくりとしたボールでならしっかりとラリーはできる」けど、体格が小さいこともあり「パワフルなボールを打つこと」はできません。
イメージとしてはフットワークと粘り強さ、丁寧さでポイントを稼ぐタイプ。
元々はナイロン系ストリングを張っていたのですが、スピン量を増やしたいということでギア(ラケット、ストリング)の相談を受けました。
現在の使用ギアはラケットがピュアドラ(285gm)。
ストリングはエクセル(Baborat)でした。
普段週3回レッスンでテニスをしている子ですが、現在のストリングで耐久性に不満はない状態でした。
スピン量を増やす方法として考えられること
簡単にいえばスピン量を増やすためにできることは大きく2種類にわけることができます。
1つはフィジカルを鍛える=スイングを強化することでスピン量を増やす方法。
鍛えてスイングスピードを上げる、そしてナダル的なスイングをする。
そうするとスピン量がナダル化する( ´艸`)
もう1つは道具に頼る方法。
今回は小学生のJrということもあり、前者の方法は論外(-_-;)
なので道具で解決する方向で検討をすすめました。
ラケットでスピン量を増やす
まず前提として「今使用しているラケットが何か」によってできることが変わってきます。
要はラケットでスピン量を増やす=スピン系のモデルを選択すればよいのです。
で、前提となる現在のラケットがスピン系モデルであればできることはほとんどありません。
だってスピン系モデル使ってるんだもん。。。
あるとすれば最新モデルか古いモデル化で差が生じるくらい。
なお、スピン系ラケットとコントロール系ラケットの大きな差は「ストリングの目の粗さとストリングの可動域」です。
この辺りはまた別の機会に詳しく説明したいと思います!
ま、簡単に言ってしまえば各メーカーから発売されているスピン系ラケットを選択していれば大きな間違いは起こらないと思います。
ここでいう間違い=スピンのかけづらいラケットで必死に回転をかけようとする的なことですね。
スクールの生徒さんに人気のあるところでいえば、、、
Vコア(Yonex)やピュアアエロ(Wilson)あたりの人気シリーズはクセも少なく、非常に多くのユーザー層に刺さるものになっていると感じます。
ストリングでスピン量を増やす
ストリングでスピン量を変化させるためにできること、それは、、、
1.細いストリングに変える
2.ナイロン⇒ポリに変えるなどしてストリングの動きをよくする
3.ノーマルなタイプからスピン系ストリングに変える
の3つがあると思います。
まず、1ですが太いストリングと細いストリングでは細い方がスピン量は多くなりやすいです。
ストリングが細いと横糸の押さえつけが少なくスナップバック(打球時のストリングの運動)が起こりやすいため、スピン量が増える傾向にあります。
2ですが、こちらもスナップバックに関連します。
ナイロンのストリングはどうしても素材が柔らかく、ストリング同士の接点で素材が潰れ摩擦が大きくなります。つまり打球時に動きづらい。
ポリはナイロンに比べ硬いため潰れづらく、また滑りの良いモデルが非常に多いです。
結果としてナイロンと比較してスナップバックがしやすく、スピン量が増える傾向にあります。
3については、〇〇ラフ、とか〇〇スピンと名付けられた商品を選択するということ。
ストリング自体の形状などに工夫がされ、ノーマルなストリングよりスピンをかける性能が引き上げられています。
ざっくりですが、表面が加工されたストリング(凹凸系)はこするように打つタイプ。
すべりのよい多角形やオイル浸透型はスナップバックを活用して打つタイプに推奨です。
今回Jrの小学生に対しておこなったこと
もともと使用しているのがピュアドラだったのでラケットはそのままに、ストリングで調整を行いました。
パワーのあるタイプの子ではないのでナイロンのままゲージ(太さ)とテンションで調整することも提案したのですが、一度はっきり違いを感じてほしいという保護者様の希望もあり、ダメ元でポリ系のストリングを試すことに。
ハイブリッドで挑戦
ただ、いきなり縦横ポリでいくのはリスクが大きすぎると判断。
結果として「縦にポリツアープロのゲージ120、横にエクセル」というセッティングにしました。
ポリツアープロ(Yonex)は比較的打感もマイルドでJrでも使用率がそこそこ高いこと、またゲージ120が店頭在庫である(すぐ張れる)ということが決め手でした。
テンションも普段はエクセルを縦横46で張っている子なので、今回はポリツアープロは43、エクセルも43でハイブリッド。
結果は、、、
本人の感覚としてもスピンはかかるようになった。
しかし、、、ネットミスが増えた。
本人がいうにはアップの球出しは非常に感覚がよかったそうです。
ストロークで回転が今まで以上にはっきりかかると感じたとのこと。
問題はラリーになったとき。
少し強いボールが飛んできた、先に左右に走らされたシチュエーションではボールが今までのように飛ばない( ;∀;)
弾道が低く出てしまい、いつもの倍近くネットミスしたのではないか?という状況になってしまいました。
慣れたら使えるとは思うのですが、本人的にもミスが増えたのがショックだったようで、ナイロン系に戻すことに。
ナイロンに戻してみた
今まではエクセル(Babolat)を使用していました。
打感の柔らかいマルチ系ストリングですね。
打感が柔らかくなるマルチ系ストリングですが、一方でデメリットもあります。
それはストリングが潰れやすいため、打球時の可動域が狭くなる、スナップバックがしづらくなるということ。
今回は少し芯のあるタイプをチョイスし、バボラのシンガットを試してみました。
テンションも少しでもストリングの可動域を広げようと縦48ー横45で張り上げ。
このストリング、ナイロンの中では表面のすべりもよいし、しなやかなので非常にお勧めなのです。
結果として、ハイブリッドよりちゃんと飛ぶし、感覚がよいと言ってくれました。
スピンもエクセルのときに比較するとかかっている感覚があるとコメント。
正直、打たれている側の感覚としては大差はないと思います。
が、こういうのは本人がどう感じるかが重要!
ということで、回り道はしましたが、現状その子にとってはマイルドなポリでハイブリッドという選択肢もまだ時期早々ということがわかりました。
まとめ
Jrでテニスをしていると使用ギアに悩むタイミングが出てきます。
よくあるのはラケットのサイズアップはいつにするか。
具体的には25インチのJrモデルを使っているけど26に変えるのか、大人用(27)の軽いモデルを選ぶのかだったりですね。
あとは今回題材にしたストリングの素材(ナイロン⇒ポリ)。
練習頻度が多いとナイロンだと頻繁に切れる。
こうなると明確に変更してもよいと思います。
ナイロンを切るだけの筋力があるということですからね。
慣れればポリでも問題ないですが、やはり体格や筋力にあわせ、適切にギアは選んでいきたいなと思った今回のお話でした。
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