【張人の控室】ラフって名のつくストリングは回転かかるの?

ストリング(ガット)

今回はストリングの表面加工についてのお話です。

先日とあるアルバイトコーチから質問されました。
「ラフって回転かかるんですよね?(原文ママ)」

これ、非常に困るタイプの質問なんです。コーチならもう少しまともな質問をしてくれと思ったり(;^_^A

何が困る?って話ですが、この質問だと前提条件がなく何と比較したいかも分からない( ;∀;)
回転がかかるかかからないかで言えば、かかりますよ?
テニスで無回転ストロークなんて至難の業です。

ホンダ△と言われていたころの本田選手の無回転FKのような弾道でテニスボールが飛ぶわけがない。

あ、某テニス漫画(あれはテニスなのか??)ではブレ球が「必殺技」的に登場していました。
ブレ球っていうか、、、もはやこれはただの残像拳w

前置きが長くなりました。。。
今回はそんなストリングのラフ加工(表面加工)についてのお話です。
参考にしてもらえたら幸いです。

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ストリングの表面加工について

ナイロンストリング、ポリ系ストリングのいずれでも「スピン」をウリにした製品はあります。
ナイロンだとこういうタイプ。
芯糸を覆う側糸に工夫をしているタイプで表面が凹凸になる。
下のパッケージの写真でいう白い糸がストリングの太さに差を作るため、凹凸ができる。

で、今回冒頭にあった「ラフ」と呼ばれるのは、ストリング表面に表面に細かい凹凸があるというか、ザラザラしているのが特徴です。(この加工がされているのは主にポリエステル系ストリングです)

スマホで撮影したので少しわかりづらいですが、、、
左がラフ加工が施されたストリング、右がノーマルなストリングです。
等間隔にドットのようなものがあるのがわかりますね!
手で触ると少しザラっとした感じです。


ストリングの太さが異なることによる特徴

ラフ加工によりストリングの太さは均一ではなくなります。
少し凹凸しているため、ストリングの太さが1.22~1.24mmのような形で表記されるモデルもあります。

Wilsonが発表していたデータによると、「ラフ加工を施したストリング」と「加工前のストリング」では「加工後の方が10%ほど柔らかいとされています。
出典元はコチラ:WilsonWebMagazine

ストリングがしなやかに(柔らかく)なることで、打球時のたわみがUpし、コントロール性やスピン性能がよくなったと感じるというのが通説ですね。

一方、「撓む」ということは打球時のパワーが逃げる(反発性能は落ちる)ということなので、収まりが良い分、一撃のパワー(ボールスピード)はラフ加工のストリングよりノーマルの方がよいという話になります。

感覚の話になりますが、ボールに回転をかけるという点ではホールド感がよい方がかかっている気がするものです。
また表面に凹凸があることで摩擦力も強まるため、こすって打つようなケースではより回転がかかるように感じますし、収まりもよいためコントロール性能があがったようにも感じます。

一方、スナップバックという点では凹凸加工が施されたストリングは前述の通りストリング自体の摩擦が強く、ストリングの動きはかなり小さくなります
そのため、スナップバックによって得られるパワーやスピンはあまり期待できません

そのため、人によっては「ラフ」系のストリングは飛ばないと感じる方もいます。
全ての性能がMaxということはないので、自分自身が何を求めているかでラフ加工の有無を考えた方がよいでしょう。

ラフ加工のストリングが向いている人

最初にお伝えの通り、ラフ加工のストリングの方がしなやかになるため、打感が柔らかくなります。
※ノーマルタイプのストリングとの比較です。

なので、例えばですがアルパワー125を使って硬いと感じた方はアルパワーラフ125を試す価値はある。

一方、「アルパワーの打感が大好き!」という方が「アルパワーラフの方が回転がかかりそうだから」という理由でアルパワーラフに浮気をするのはちょっと考えた方がよいと思う。
同じアルパワーといっても確実にフィーリングは変わってしまう。

これは私見ですが、こすり上げるようなスイングをするタイプの方が回転量を増やしたくてラフ加工のモデルを選ぶのはOKと思います。
摩擦が通常モデルより強くなるし、ホールド感が出る分、回転をかけている感覚は掴みやすいはずだから。

ですが、コンパクトなスイングをしている方が回転量を増やす目的でラフ加工を選ぶのは違うと思う。
コンパクトなスイングだとスナップバックの恩恵が多いと感じています。
自分のスイングのパワーに加え、ラケットとストリングのパワーがあるから戦える。
ラフ加工のストリングは横糸を張る(編み込む)ときにもはっきり摩擦力の差を痛感します。
横糸を通すのが通常の倍はシンドイ!ってくらい差がでます。
摩擦が強い=スナップバックは少ないため、コンパクトなスイングの人にとっては飛ばないと感じるケースが多いと感じています。

ただ、正直感覚的なところも大きいので、気になる方は一度試して打ち比べをした方がより納得できると思います。



ラフ加工の製品と多角形ストリングの関係

最近流行りの多角形ストリング。
こちらも大概はスピン性能をウリにしていると思います。
代表格はハイパーG(Solinco)でしょう。
ええ、あの蛍光グリーンのド派手なやつです。

最近は色々なメーカーが発売しており、三角形から八角形まで、そろっているのではないでしょうか?あ、7角形は存在しない気がしますね。だって360度÷7しても割り切れないから( *´艸`)

多角形ストリングのポイントは「ひっかかり感」です。
これによりスピン性能が高いというもの。
ストリンギング(張替え)をしていても多角形は角のおかげで指が痛いというものもあります。
調子によって横糸を引き込むと、、、縦糸の表面が削れて傷になるということも。

そのくらい角が立っていて引っかかります。
しかしながら、、、何角形かにもよりますが、意外と滑りやすいモデルもあります。

ハイパーGソフトは私も使用していますが、ゲージが細いこともあり、よく動きます(=スナップバックしやすい)


ポリツアーREV(Yonex)なんかも非常に滑る!
これ、ポリのストリングだと最強クラスに滑る!

【インプレ】ポリツアーREV(Yonex)を使用して・・・
現役テニスコーチによるストリングインプレ。今回はYonexのポリツアーREVを試してみました。 見た目がド派手で自己主張強めなこのストリング。果たしてその性能は!?

一方の「〇〇ラフ」というストリング。
代表格はアルパワーラフ、4G ラフのルキシロン製品でしょうか?
ブラスト(Babolat)なんかもユーザーが多い印象ですね!

ルキシロンの製品紹介を見ると「凹凸をつけることで、ナチュラルなスピン性能とソフトフィーリングを向上したモデル」となっています。
ポイントは「ナチュラルな」という記載でしょうか。

ストリングのたわみ感(ホールド感)Upによる回転量Upを期待して張るというのが正しいでしょう。

ダラダラ書いてしまいましたが、、、
言いたいのは、
ラフ=ホールド感が強いことによる回転量Up
多角形=ひっかかり(モデルによってはスナップバック)による回転量Up

と結果は同じ回転量Upであってもプロセス手段が異なる
ということ。

その人のフィーリングと求めるものにより「どちらがお勧めか」は変わるし、誰でも「回転が増える」というわけではないのでご注意ください!

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