今日はラケットのフレームに関するお話です。
普段テニスをプレーするだけでは、ラケットの変形が気になる方はほとんどいないと思います。
が、ストリンガーにとってはラケットの変形は当たり前のお話。
どうして変形する?
吊るしの状態(フレームのみ)からストリングを張る際に変形するんですね。
まず縦糸から張るので縦方向につぶれる。
イメージで言えばこんな感じです!
※ストリングが張ってある写真を加工したため見え方は悪いですが、、、まず縦がつぶれます。
実際にはストリングマシンの支えもあるので変形して見えません。
縦糸を仕上げたのち、横糸を張ることで横がつぶれ(その際に縦が元に戻っていきます)、最終的にフレームのみの形と張り上がりの形が同一になる。
そう、フレームのみの状態と同じ形に張り上がるのが理想。
下手に張ってしまうと…
例えばですが、横糸を張る際に正しくテンションをかけなかったら、縦につぶれたラケットは元に戻らず、横に膨らんだ状態で仕上がります。
逆に、横のテンションを異常に強く張れば横がつぶれた縦長なラケットになる。
世の中には「意図的に変形させる(スイートスポットの形を変える)」人もいるらしいですが、自身の周りにはいません。
当たり前ですが、多くの人はノーマルな形で使用します。
特に試打ラケットは不特定多数が使うのでノーマルに、平均的なテンションで仕上げるように意識しています。
が、しかし、、、
バイトの学生が張ったと思うのですが、店の試打ラケットが残念なことになっているのに気づきました。(というか、生徒さんが使用する際に違和感を覚えて教えてくれました)
この写真でわかりますかね?
同じフレームのラケット2本を重ねて撮影したものです。
※カメラのレンズをフレームの高さにあわせ、極力水平にして撮影しています。
本来であれば、同じラケットなので「2本のフレームが重なる=奥側のフレームは見えない」はず。
なんですが、きっちりと見えていますね。
残念なことに、5mm~7mm程度、手前のフレームは横が潰れて縦長に変形していました。
ちなみに、その場にいたコーチ3人、生徒7人が全員「形が変だよね?」って違和感を覚えました。
昔のYonexのラケットのようにかなり四角に見えたので。
で、実際に同じフレームで重ねたところ、こんなことに( ;∀;)
フレームが歪んでいる状態で打つとどうなるの?
正直、テニスをしようと思えばできます。
が、フレーム本来の形ではなく、強制的に形をゆがめている状態なので、金属疲労はしやすくなります。
直ちに折れる、、、ということは発生しないとは思いますが、歪みの程度がひどければ折れる可能性も。
やはり道具は本来あるべき形で使用するのが一番ということですね。
当然、メーカーがフレームを製造する中で臨んでいるスペックも発揮されずらくなります。
極端に言えば、ストリングに求める動きやたわみ方もフレームの形が変形すれば、発揮されなくなります。
この差がわかるレベルかどうか、、、というのは難しいのですが、逆にわからないのであれば無理に変形させて使う必要はないということになると思います。
道具を大切に、長く使うためにも、このような事態は避けたいところです。
ラケットの変形を防ぐには?
正直、ユーザー側から見ると変形自体を未然に防ぐことはできません。
なぜなら、、、「ストリングの張替え時に変形する」からですね。
「ホームストリンガー」=「自宅で張替えをしている人」であれば、張り上げ時に注意することで回避できます。
要はこういった機械を自宅にお持ちの方ですよね。
が、お店に張替えを任されているのであれば、張替え時に注意して未然防止することはできない。
ではどうすればよいのか。
答えは「正解の形を知っておく」というものです。
事前にフレームの縦、横の長さを計測しておけば、歪みがあるかどうかがわかる。
受け取り後に「明らかに歪んでいる」ようであれば、張上げを依頼したお店に申し出る。
普通であれば張り上げ時のミスですので、無償で張り直しをしてもらえます。
あまり神経質になりすぎるのもよくありませんが、自分自身が使用する用具のことです。
ストリング、フレームともに興味をもつと見え方も変わるし、用具を選ぶのも楽しくなると思います(^^)/
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