【検証】ストリンガーによって張り上がりにどれほど差が出る?

ストリング(ガット)

前々から気になっていたことがあります。
それは「張る人によってどれくらい張り上がりに差がでるのか」ということ。

例えばですが、GOSENが運営している張人。
これは実技試験を受けて認定をもらう仕組みなので、「張人」イコール「一定以上のレベルを持っている」。
ですので、張り上がりの品質はある程度、保証されている(ということになっている)。

コンセプトが「全国どこでも同じ品質の張り上がりで仕上げてもらえる」というようなものですから当然ですね。

ただ、張人だから「絶対にこの張り方」とか「この結び方」といった強制はない

なので、私も指定がなければラケットによって張り方は変えるし、ノットもストリングとグロメットの変形度合いで変更しています

お店の方針やそのストリンガーによって張り方と技術はそれぞれですよって話です。

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今回、試してみたこと

張る人のクセや張り方によって多少の差は生じると思っています。
ただ、許容される差と、許されざる差があると思っています。

そう思ったのは、アルバイトコーチの学生が張ったラケットがあまりにも酷かったから。
なので、今回はきっちりと張れたラケットと、雑に張ったラケットにどれくらい差がでるかを検証してみました。

前提として

使用するラケットは試打用のEzone98(2020年モデル)です。
「2022年モデルの試打が入ったので用済みになった( ;∀;)」というのがその理由です。

条件としては以下の通りです(基本的に同一条件になるよう意識しました。)

張る人:私
張り方:GOSEN張り
ストリング:試打ラケ用のサービスストリング(ナイロン)

ただし、「横糸」を張る際の「目直し」をする、しないで差をつけます。
「目直し」で差をつけたのは、前述した学生アルバイトが「目直し」をできておらず、横糸が湾曲していたからです。
※「目直し」とは横糸にテンションをかける際、最短距離を通して正しくテンションがかかるようにする作業です。これによって縦横のストリングがきちんと垂直に交わります。

まずは正しい張り方で張る

最初にいつも通りの張り方で1本。

さくさくといつも通り、きっちりと張り上げていきます。
横糸は当然に「目直し」をしながらきっちりとテンションをかけていきます。

張り終えた後はテンションを計測。
結果は53ポンドでした。



目直しをしない、正しくない張り上げで張る

次に横糸の目直しをしない張り方で張ってみます。

縦は基本まっすぐになるので割愛。
問題の横糸ですが、縦糸が張ってある状態で糸を上下交互に通します。
するとこのように湾曲した状態になります。

この写真で一番右側の横糸(写真では上側から下側に通している糸)にテンションをかけます。
そのときに目直しをして「まっすぐ」にするのが本来のやり方
ですが、今回は機械任せでテンションをかけ、特に何もしません。
本当にただ機械で引っ張って止める。それだけ。

それを繰り返すと、、、

全体的に横糸が写真の右側に向けて湾曲しているのがわかると思います。
魚眼レンズで撮影したかのようですねw

このまま最後まで張り上げます。
結果どうなるか。。。

3ポンドも低いテンションが計測されてしまいました。

原因は?

原因は「横糸の目直しを怠ったことで、テンションが正しくかかっていないから」です。

この湾曲したストリングを後から目直ししてみました。
すると、、、

写真左半分が目直しをした状態です。
相当撓んでいたことがわかると思います。
当然ですが、まっすぐ張った状態と比較して、撓んだ状態の方がストリングの長さは長いです。

撓んだ状態で53ポンド ⇒ まっすぐにすれば緩んで50ポンドになる。
そんなお話ですね。

縦糸を張るときは何も抵抗がかからないため、ほっておいても真っすぐになります。
横糸を張るときは、縦糸が既に張られている=上下交互に編み込む形になります。

すると横糸を引っ張った時には縦糸との摩擦もあり、多少湾曲している状況でも機械がテンションがかかった状態と誤認します。
目直しをすることで横糸の端から端まで均一に、正しいテンションをかけることができるのですが、、、これが意外と難しいのです。
本当に真っすぐ最短距離で正しくテンションをかけるためには結構気を使います。

ここの大切さを認識していない(というか知らない)で張るとこのような事態になるわけです。

注文された通りのテンションで張りあがらない

結局、お客様が「50ポンド」で張りに出されたとする。
きっちりと横糸にテンションをかけて張り上げれば問題ありません。
が、目直しが正しくできていないと50ポンドでの張り上がりになりません。

ほかにもノット(結び)の部分でテンションロスが出るパターン等もありますが、基本的に失敗すると緩む方向にミスが出ます。

今回は明らかに目で見てミスがわかるものを取り上げました。
検証結果として、目直しを全くせずに張ると、正しく張るよりも面圧(張り上がりのテンション)が5%程度落ちる。

正直目で見てすぐわかるミスというのは中々ありません。
が、あきらかに横糸が波打っていたりする場合は正しくテンションがかかっていない可能性もあります。

もし時間に余裕があるなら、張上げ作業を見せてもらうと良いと思います!


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